シーバード葉山 ビッグウエイブに挑戦するサーファーをサポート
シーバード葉山のメインの活動は、葉山町の海水浴場に遊びに来る方の安全管理です。また、葉山は穏やかな海の日が多いため、近年人気のSUPを漕ぎに来られる方も多く、沖から陸に帰れなくなってしまった方などの救助にも、貢献しています。(2022年7-8月の海水浴場開設期間のみで海上保安部からの協力要請2回、消防署からの協力要請1回に対し、すべてシーバード艇にて対応)シーバードの理念に賛同し、シーバード拠点としての開設を検討した最大の理由も、マリンスポーツの普及と沖合いでの事故の増加にあります。
シーバード葉山として拠点開設をして7年。前途のような状況に対応すべく、隊員のスキルアップ、増員をしてまいりました。また、事故の未然防止のための教育にも力を入れ、(公)日本ライフセービング協会のウォーターセーフティー講習会などを、マリンスポーツ愛好家に対して定期的に開催しております。
この度、ビックウェイブに挑戦するサーファーのサポートについても力を入れていくこととしました。一般的なサーフィンは、波の大きさもそこそこで、多くは楽しむポイントも陸からほど遠くない場所で行われます。
普段は穏やかな葉山ですが、台風の大きなうねりがヒットしたときのみ、葉山御用邸沖の小磯という場所に大きな波が出現します。サーファーの間では、通称“Yono Peak”と呼ばれ、大きな波に挑戦するサーファーが全国から集まってきます。その大きな波に挑戦するサーファーは、もちろん普段からトレーニングを行っており、そう簡単にトラブルは発生しないのですが、大きな波のパワーは計り知れず、万が一の時に、ヒューマンレスキュー(人力での救助)は不可能となります。そこで、シーバード葉山では、水上オートバイを活用し彼らのサポートに力を注いでいくこととなりました。
先日12月14日(水)に、その活動を皆様にお伝えさせていただきました。また、海水浴場の安全管理とは別路線で活動を広げていく為、拠点3艇目となる新艇をお披露目させていただきました。お披露目の式典では、ウォーターマンが紹介され、救助する側と救助される側の協力や、波間での素早い救助のデモンストレーションが行われました。
当日は、冬型の気圧配置により大西(風速10mを超える強い西風)が吹き荒れ、海面は波立っており、式典に参加された方々の中には、このような状況でデモンストレーションが行えるのか疑問に思った方もいらっしゃったようです。ウォーターマンの面々からすると、彼らの挑戦している波の1/5にも満たないのですが、一般的には荒れている海でのお披露目となりました。デモンストレーションを見ていただいた方には、我々の活動について、リアリティを持っていただけたのではないかと思います。
ビックウェイブに挑戦するサーファーのサポートと記述致しましたが、サーファーでもあり、レスキュアーでもある人々のことをウォーターマンと呼んでいます。ウォーターマンの育成と共に、この活動を続けていきたいと思います。
■今回の皆様に、お伝えしたかったことは3つ
☆水上オートバイレスキューの本質について
水上で最速である水上オートバイだからこそ出来るレスキューがある。
残念ながら、負のイメージの多い水上オートバイですが、スピードが速く機動性がある
からこそできることについて、もっと知ってもらいたい。
☆チームでビックウェイブに挑戦していること
レスキューする側だけがトレーニングをしても短時間での救助は出来ない。
サーファー、レスキュアー、カメラマンも一丸となって挑戦していること。
☆無謀な挑戦をしているわけではないこと
大きな波に無謀に挑戦しているわけではなく、水上オートバイの操船についても、十分
にトレーニングを行っていること。万が一のことを常に考えながら行っていること。
海水浴場など一般的な方が入る海での活動とは違った路線となりますが、どちらの活動
も無理をせず、しっかりと継続させていきたいと思います。
シーバード葉山隊員 加藤智美 佐久間泰介
※“Yono Peak”で行われる洋之介メモリアルカップについては、HPをご覧ください。
https://www.yonosuke-memorialcup.com/
- お披露目式では、神奈川新聞にて取り上げていただきました。